出版が決まったら、今度は執筆。
とはいえ、本を書くことなんてはじめてのことだと思いますので、初心者ということになります。
きっと、本を書くためには何をすればいいのか、よく分からいことでしょう。
出版社の編集者などが本を書く方法をしっかりと指導してくれる場合もありますが、必ずしも指導してくれるとは限りません。
ブログをやっているのであれば、同じような準備をして、同じような要領で時間をかけずに書けるとお思いかもしれませんが、そんなに甘いものではありません。
原稿を原稿用紙に書くわけではなく、PC(WindowsやMacintosh)で執筆をするのであれば、それなりのソフトもあります。
また、移動中などのちょっとした時間にもiPhoneなどのスマホで原稿を執筆するのであれば、最適なアプリもあります。
実際に原稿を書くにせよ、本のテーマについて、どれぐらいの文字数が必要なのか、どんな構成で原稿を書けばいいのか、図版や画像はどうすればいいのかなど、分からないことはいっぱいあるはずです。
表現にしたって、語彙力がないと本当にこの表現でいいのか、それとも別の言い方で類義語があるのか…。
とにかく、そういうことにはコツがあるんです。
もし、原稿を書くのが面倒だというのであれば、代筆などを仕事にしているライターさんもいらっしゃいます。
本業でやっている人と副業でやっている人とで費用などは異なりますが、いずれにしても、印税の金額内に収まりますので、ご安心ください。
この記事には、本の原稿執筆に関するいろいろなことを書こうと思います。
本を書くとしたら、企画は読者の顔を思い浮かべて考えよう
本を書きたいと思ったら、まず、何の本を書こうかと考えると思います。
その時、最初に「書きたいこと」を考えてしまいがちですが、それは大きな落とし穴です。
書籍は出版社の商品です。
出版社は企業である以上、営利団体なので、売れる商品しか作りたくありません。
当然ですね。
もし、自分の「書きたいこと」が売れる内容であれば、問題ありませんが、ほとんどの場合がそうではありません。
では、どう考えれば良いかというと、答えは簡単です。
自分が書けることで「売れそうなこと」を考えれば、良いのです。
読者は、お金を出して本を買います。
お金を出す以上、その金額に見合った情報が盛り込まれていなければ、本は売れません。
そのことを念頭に企画を考えてみましょう。
そして、本を出す以上、そのことは読まなくては、理解できないことであった方が良いでしょう。
そうすることで、本にする意義が出てきます。
一言で済むような内容をわざわざ一冊になるようにまわりくどく説明するような本や目次を見ただけで言いたいことが分かってしまうような本は、売れませんし、紙の無駄です。
また、立ち読みで理解できる内容では、手に取ってはもらえても、立ち読みで済まして買ってはもらえません。
企画を考える場合には、必ず、読者の視点で考えるようにしてください。
売れそうなことで、本の定価以上のお得感のある内容で、本にしなければ伝わらないことであれば、企画は通ります(通らない場合は、企画を提案する手法の問題だと思います)。
そして、その本は、きっと売れるでしょう。
もし、それでは書く意味がないとか、書きたいことで本にしたいと思うのであれば、自費出版をオススメします。
お金を払えば、たいていの内容は本にすることができます。
本の原稿を執筆するスケジュール管理について
長年、出版業界に身をおいていると、業界外の人との意識のズレを感じます。
それは、スケジュールへの意識です。
私が出版業界に入った時に一番最初に教わったことは、「親の死に目に会えなくても締め切りを守れ!」ということでした。
それは、本を一冊作るのに多くの職種の方々による、幾重にも及ぶ工程を経るため、一人でもスケジュールを守れない人がいると、後工程で控えている多くの方々に多大な迷惑をかけることになるためです。
そのため、出版のスケジュールは、各職種の方々のスケジュールを調整した上で、かなり緻密に作られております。
著者の場合、一番上流にいることになるので、その著者が原稿を遅れると、そこから先の全ての工程に影響が出てしまい、多くの方々に迷惑をかけることになるんです。
例えば、著者の方が半日原稿を遅れたとします。
半日であれば、工程上、吸収できるレベルではありますが、朝から原稿待っていた次の工程の方は何もできずに半日を過ごすことになります。
そして、その半日の遅れを取り戻すために、徹夜で作業することになります。
編集者にしてみれば、著者の身勝手な遅れで、いきなり定時帰宅の予定が徹夜になってしまうわけです。
自分の身に置き換えて考えてみれば、それがどれほど精神衛生上、よくないことかは分かるはずです。
しかも、それだけではありません。
徹夜で作業を行うということは、その方の残業代や深夜残業代など、本来、発生しないコストも発生します。
当然、そのコストは誰も負担してもらえないので、各自の持ち出しになるのです。
半日だけでも、その影響が大きいわけですから、1日以上の遅れになったとしたら、さらに問題を深刻化します。
場合によっては、発刊延期や発刊中止になることもあるでしょう。
スケジュールの管理は社会人の基本ですが、「少しぐらい」とか、「半日なら」と、軽く考えがちな傾向を感じます。
出版におけるスケジュールは、“絶対”です。
この意識をしっかり持てないのであれば、出版は諦めた方が良いでしょう。
たとえ、一冊は後工程で吸収して大事に至らなくても、よほど売れない限り、二冊目が決まる確立が格段に落ちることは間違いありません。
実は、このスケジュール管理への意識は、出版が決まるまでの打ち合わせでも見られています。
平気で5分、10分と遅れる方は、スケジュール管理の意識が低い著者と認識されるので、実務に限らず、日常的に意識したほうが良いでしょう。