お金をかけずに商業出版する方法

ゼロから起業して20年で培った経営的視点と業界歴30年で培った編集的視点の2つの視点で、確実にあなたを商業出版へと導き、ファンを獲得して、二冊目、三冊目につなげながら、出版した相乗効果でビジネスも加速する方法をお伝えいたします。

ビジネスに役立つ出版企画の考え方

ビジネスにつながる出版をしたいと思ったとしても、何も考えずに出版したところで、ビジネスにはつながりません。

ビジネスにつながる出版をしたいのであれば、ビジネスにつなげるためにはどんな企画にするべきなのかをしっかりと考える必要があります。

では、何をどう考えればいいのかを書いていきたいと思います。

 

f:id:shuppanproduce:20180626101808p:plain

 

 

企画は読者の顔を思い浮かべて考えよう

本を出版したいと思ったら、まず、何の本を書こうかと考えると思います。

その時、最初に「書きたいこと」を考えてしまいがちですが、それは大きな落とし穴です。

 

書籍は出版社の商品です。 

 

出版社は企業である以上、営利団体として売れる商品を作らなくてはなりません。

これは、当然の話しですね。

 

しかし、自分の「書きたいこと」が売れる商品になりうる内容なのであれば問題はありませんが、ほとんどの場合がそうではありません。

 

では、どう考えれば良いかというと、答えは簡単です。

自分が書けることを列挙して、その中から「売れそうなこと」を考えれば、良いのです。

 

f:id:shuppanproduce:20180704030730j:plain

 

読者は、お金を出して本を買います。

お金を出す以上、その金額に見合った以上の情報が盛り込まれていなければ、その本を誰かに勧めようとは思います。

そうなったら、当然、その本は売れません。

売れないだけで済めばいいのですが、Amazonのレビューが荒れたり、ネットで炎上することもありますので、注意してください。

 

なので、そのことを念頭に企画を考えてみましょう。

 

そして、本を出す以上、目次を読んだり、斜め読みで内容が理解できるような本は出さない方がいいでしょう。

そうすることで、本を買っていただけますし、本にする意義が出てくるというものです。

 

一言で済むような内容をわざわざ一冊になるようにまわりくどく説明するような本や、目次を見ただけで言いたいことが分かってしまうような本は、売れませんし、紙の無駄ですからね。

また、立ち読みで理解できる内容では、手に取ってはもらえても、立ち読みで済まして買ってはもらえません。

 

企画を考える場合には、必ず、読者の視点で考えるようにしてください。

売れそうなことで、本の定価以上のお得感のある内容で、本にしなければ伝わらないことであれば、企画は通ります(通らない場合は、企画を提案する手法の問題だと思います)。

そして、その本は、きっと売れるでしょう。

 

もし、それでは書く意味がないとか、書きたいことで本にしたいと思うのであれば、自費出版をオススメします。

お金を払えば、たいていの内容は本にすることができます。

 

あなたが出版するべきテーマを考えよう

出版をしようと思って、自分が書けることで「売れそうなこと」を考えようとしても、なかなかうまくはいきません。

なので、まずは自分自身の経験や実績、知識などを棚卸しをして自分が何を書けることを整理してみましょう。

 

このときにできるだけ“モノ”に関することではなく、“コト”に関することを書き出すようにしてください。

“モノ”についての企画が出版すると、その“モノ”にもよりますが、たいていの場合が書籍の賞味期限が短くなってしまいます。

 

書き出した中から、“コト”に関することで、体系化されたノウハウや体系化できるノウハウを抽出してください。

そこから、次の項目に該当するものをさらに抽出していきます。

  • 人に認められるぐらい取り組んできたコト
  • より楽に、より安くできるコト
  • 周りに驚かれるコト
  • 不愉快、不便、面倒を取り除けるコト
  • 身近な問題で、周りに求められるコト
  • 今までありそうでなかったコト

次に、その抽出された“コト”が売れそうかどうかを考えてみましょう。

売れそうかどうかは、自分自身が「こんな本があったらいいなぁ~」と思えるかどうかです。

あとは、その“コト”について検索をしてみて、検索結果に広告が表示されるかどうかや、月間検索回数が5000回以上はあるかどうかを調べてみるのも手です。

 

本を書きたいという一心で、思い入れや思い込み、私利私欲、私情がまじらないように客観的に考えてみてください。

 

次に考えなくてはいけないことは、その残った“コト”に対する出版的な需要です。

似たような本を本屋さんで探してみて、まずは置かれているかどうか、そして、棚差しなのか、平積み・面陳なのか、さらに、その本が売れているかを見てみるといいでしょう。

売れていれば、需要があるということになります。

 

f:id:shuppanproduce:20180807012239j:plain

 

ここまでの絞込みでも残った“コト”があれば、その“コト”は書籍にする価値があるといえます。

 

一冊では終わらない企画の考え方

出版は一冊ではほとんど意味がありません。

出版して半年ぐらいは効果があるかもしれませんが、そこから徐々に効果が薄らぎ、二年もしたら、もうほぼ元の生活に戻ってしまいます。

なので、出版をする場合、一冊だけで満足するのではなく、二年か三年に一度は出版することを想定して企画を考えるようにしましょう。

 

複数冊を出版することに想定して企画を考える場合、最初の一冊は単発の企画かもしれませんが、その先にシリーズ展開が見越せるような企画の立て方をすることをオススメします。

 

出版社としては、最初からシリーズの書籍は別ですが、単発で発刊した本が売れた場合、その本を起点にしてシリーズ展開をしていくというのは、よくある話です。

言い換えれば、今でこそシリーズ化されている書籍でも、最初は単発の企画として出版され、その本が売れたからこそ今があるということです。

つまり、今、発刊されているビジネス書の多くは、シリーズの一冊目なりうるということになります。

 

売れればシリーズ化、売れなかったら単発本という考え方がベースにありますので、編集者としては、どっちに転んでもいいように書名やカバーデザインも考えます。

シリーズでなかったとしても、本が売れたら、そのきっかけは絶対に無駄にはしません。

すぐに『手を替え、品を替え』次の企画を考えるのです。

そうすると、売れた書籍の関連商品ということもあり、ある程度の売れ行きが見込めると判断するため、書店でも取り扱ってもらいやすく、出版社にとっても嬉しい企画となっていきます。

 

事例を紹介すると、かつて弊社でプロデュースした『FX自動売買ロボット作成マニュアル』という本があります。

 

f:id:shuppanproduce:20180626101959j:plain

 

この本は売れ行き好評でした。

そうすると、出版社は次にどういう思考になるか…。

『FX自動売買ロボット作成マニュアル』が売れたというコトは、その続編として『FX自動売買ロボット運用マニュアル』『FX自動売買ロボット改良マニュアル』のような企画を考えます。

これが 『手を替え、品を替え』の手を替えたパターンです。

そして、次に考えるのが『日経225自動売買ロボット作成マニュアル』や『株式自動売買ロボット作成マニュアル』といった、切り口が同じで取扱商品が違う企画になります。

で、こっちが品を替えたパターンです。

 

つまり、売れている本を起点に『手を替え、品を替え』ながら企画を考えていきます。

 

皆さんも、書店に行ったら、売れている書籍を見ながら、『手を替え、品を替え』企画を考えてみましょう。

それで企画がまとまったら、意外にスムーズに出版が決まるかもしれません。

そうでなくても、そういうことを意識しながら書籍を見ていると、ちょっとした頭の体操になりますので、オススメです。

 

ビジネスが加速する出版

出版するとビジネスが加速します!

ブランディングでき、集客になります!

名刺代わりに一冊は出版しましょう!

 

などと、よく言われておりますが、本当に出版するとそんな夢みたいなことが起こるのでしょうか?

 

今までたくさんの著者さんの出版に携わった経験と私のまわりの著者さんたちの動向から、実際のところはどうなのかを書いてみたいと思います。

 

f:id:shuppanproduce:20170601165524j:plain

 

 

出版はビジネスにどれくらい役立つのか?

よく、「出版すると本当にビジネスが加速するんですか?」と聞かれることがあります。

確かに出版すると、良いことはたくさんあります。

ただし、同じくらい、危険なこともたくさんあるのです。

まずは、出版することのメリットとデメリットを紹介します。

 

出版することのメリット

今まで届かない人にリーチできる

今までの営業活動ではリーチできなかったチャンネルで営業活動をすることができます。

本の内容がフィルターになって集客できる

本の内容を読んで共感し、信頼した人しか問い合わせをしてきません。つまり、問い合わせがあった時点で顧客教育が済んだ状態ということになります。

顧問料、講演料などのギャランティが倍増

著書がある講師と著書がない講師とでは、主催者が格が違うと判断しギャランティが変わります。もちろん、当日の扱いも…。

会社信用度がアップする

本という公的なものを出している会社ということで、信用度が向上します。

商談を優位に進めることができる

著書があるので、先生という立ち位置で話しを進めることができるので、商談を優位に展開することができます。

雑誌やラジオ、テレビなどに取材される

雑誌やラジオ、テレビといったスポンサーがいるメディアは扱う人の与信調査をしなければなりませんが、本を出していれば、それだけで与信調査の手間を軽減できます。

同業他者に圧倒的な差をつけられる

本を出している業者と本を出していない業者を比較する場合、どっちが安心ですか? どっちが実力がありそうですか? それが答えです。

 

出版することのデメリット

レビューが荒れる

出版すると、公人に近い存在になります。Amazonのレビューや2ch、ブログ、ソーシャルメディアでいろいろ書かれることもありますが、何も文句を言うことができないということです。

ブランディングブランディングの固定

本の内容や本の出来で判断されるため、下手な本を出版してしまうと逆ブランディングになることがあります。また、その本が売れると、その内容でブランドが固定されてしまい、身動きしづらくなります。

トレンドの便乗、出版の乱発

流行りに便乗して出版すると、息の短い著者になってしまい、結果的にいい評価にならないことが多いです。また、出版社に言われるがままに立て続けに出版してしまうと、インプットとアウトプットのバランスを崩し、どんどん薄っぺらい本になっていき、ファン離れが起こります。

背伸びすると実力がばれる

最終的にビジネスにつなげるのであれば、会って話すこともありますし、仕事で成果を出さなくてはならなくなります。本は机上論でも出版することはできなくはありませんが、一緒に仕事をした瞬間にバレてしまいます。

思った以上に手間と時間を取られる

本ができ上がるまでの工程は、あなたが思っているよりも大変な作業です。急な対応を求められることもしばしば。なので、思いの外、手間や時間を取られてしまいますので、余裕をもって挑むようにしてください。

業界の常識が多く振り回される

出版業界は閉鎖的な上に、隠語が多い業界です。なので、ちょっとでも知ったかぶりをしてしまうと大変な目にあうこともしばしば。分からないことは分からないと聞くようにしてください。

スケジュールが出版社主導で決められる

原稿の締め切りや本の発売日など、ほぼすべてのスケジュールは出版社の都合で決められてしまいます。なので、販促の準備などを前もって用意をしておくと大変なことになる場合もありますので、注意しましょう。

 

本当に出版でビジネスを加速させることは可能なのか?

メリットとデメリットの話しをすると、次のようなことを心配される人が多いです。

  • 出版すれば、仕事の問い合わせが自動的に増えますか?
  • 出版すれば有名になれる、すごいと思われますか?
  • どんどん本を出せば印税で儲かりますか?
  • 出版すると講演・セミナーの集客が楽になれますか?

この質問の答えは、「知らんがな!」です。

 

言ってしまえば、集客が増える場合もあるし、増えない場合もあります。

凄いと思われることもあるし、思われないこともあります。

儲かることもあるし、儲からないこともあります。

集客が楽になることもあれば、楽にならないこともあるということです。

 

よく出版さえすれば、その先にはバラ色の世界が待っているような感覚をお持ちの人がいらっしゃいますが、そんなに甘い世界ではありません。

何も考えずにただ単に出版したところで、そのような効果を得られることはないということです。

 

では、出版した本で狙った効果を得るためにはどうすればいいのかというと、しっかりと事前に戦略を立てて、その効果を得られる企画で出版しなければ、何のために出版したのか分からなくなってしまいます。

重要なのは、出版することを目的にするのではなく、出版した先に何を見越すのかということです。

そこまで考えて出版しなければ、出版で狙った効果を得ることはできないでしょう。

 

出版してビジネスを加速させるためには?

ただ、出版した先を見越して出版することは大切なことですが、実はそれだけでは足りません。

 出版してビジネスを加速させるためには、もうひと押し、ビジネスを加速させる推進力が必要になります。

 

では、その出版した本でビジネスを加速させる推進力を得るためには何が必要なのでしょうか?

 

出版した本でビジネスを加速させるのに必要なこと

実は、出版することの効果として確実にいえるのは、出版することで発する言葉に重みが増すということです。

 説得力が増すというか、影響力が増すというか…出版の効果として“信用度”が増すといういうことがいえるのではないでしょうか?

 下手に信用度が増すので、なんとなくビジネスが加速しているような錯覚に陥りますが、現実はなんの成果にもつながっていないというのが現実だったりします。

 

残念なことですが、信用度が増しても、実は、ビジネスは加速しません。

ビジネスを加速させる推進力を得るためには、信用ではなく“信頼度”を向上させる必要があります。

だって、わざわざ著者に連絡をして、何かを依頼するわけですからね。

本を出版したというだけではなく、その本を通じてそれなりの何かがなければ、そこまでする気にはならないということです。

 

出版した本で信頼度を向上させるためには

では、この信頼度を向上させるために何をすればいいのかというと、本を読んだ読者が、本の内容によって自分の悩みを解消し、一定以上の成果を出し、満足度を与えるということになります。

もっと言えば、本に書かれているノウハウだけではなく、著者のスタンスであったり、考え方、こだわり、想い…そういうことも本で伝えて、読者が共感しなければ、わざわざ著者に連絡することもないでしょう。

 

そこまでして、やっとその本の著者を信頼するのです。

 

よく出版すればビジネスが加速すると言っている詐欺的出版プロデューサーがいらっしゃいますが、たんに本を出しただけではビジネスが加速するはずもなく、ここまでちゃんとやって、はじめてビジネスが加速する出版ができると思ってください。

単に戦略を立てて企画を考えるだけではなく、最終的にビジネスを加速させる推進力として、信頼度を向上させるような出版をするように意識してきましょう。

 

f:id:shuppanproduce:20121107173104j:plain

 

自費出版ではビジネスは加速しない

突然、ある投資情報の会社が弊社に連絡をしてきました

別に本業に関係があるわけではなく、たんに社長に向けた営業です

ただ、商売柄、投資系の情報には飢えているので、お会いして説明を聞いてみました

 

応接室に通して面談を開始すると、いきなりガサゴソ、ガサゴソと鞄の中から書籍を取り出しました

そして、私に「弊社は、このように書籍を出している会社なので安心です」と言わんばかりの営業トークを展開してきました

もちろん、その書籍をじっくりと拝見すると、奥付に書かれた出版社名が自費出版の会社じゃありませんか!!

しかも、自費出版の会社といっても大々的に自費出版をやっている会社ではなく、企業に対して販促物になるような書籍を専門で扱っている出版社です

なので、出版社のサイトを見ると、一見、商業出版のようなラインナップですが、実は、全て自費出版なのです

 

これが、もし、一般の企業だったら与信力になるのかもしれませんが、弊社はそのこと知っていたので、その“どや顔”が滑稽でたまりませんでした

 

f:id:shuppanproduce:20180803003337j:plain

 

お金を出せば出版できる自費出版では、やはり与信力にはならないと思います

最近では、悪徳病院などが自費出版でいろいろな書籍を出して、患者さんの信用を得ていた事例も紹介されました

自己満足な内容であるならともかく、ビジネス書を自費出版で出すのは、逆効果になりかねません

 

もし、ビジネス書を出すのであれば、自費出版を商業利用するのではなく、商業出版で発刊することをオススメします

最終的にコスト換算したら、そんなに変わらないか、むしら安くできると思いますよ

 

出版社の編集者が喜ぶ本の企画

出版したいと思っている人が多い割に、意外と企画を売り込む先である出版業界や出版社の求めていること、そこに所属する編集者の考えていることなどは知られておりません。

 

でも、それを知らずに出版なんてできるわけないと思ってしまうのは私だけでしょうか?

 

何でもそうですが、自分が何かを望むのであれば、まずは相手のことを知りましょう。

そして、その上で傾向と対策を考えなきゃ、意味もなく遠回りをすることになりますからね。

 

この記事では、出版業界で20年以上お仕事をし続けてきた私から見た、出版業界や出版社の求めていること、そこに所属する編集者の考えていることについて書こうと思います。 

 

f:id:shuppanproduce:20180704030726j:plain

 

 

編集者が重要視しているのは「本にしたら売れそう」という感覚

何も知らない人からすると、本の著者になること、作家になることについて、敷居が高いと思っている人が多いと思いますが、実はそんなことはありません。

実際、誰もが知っているベストセラー作家にも最初の一冊は必ずあります。

その時、そのベストセラー作家は、皆さんと同じ素人だったはずです。

でも、そこで頑張ったから著者になり、出版した本が売れたからこそ、次々と出版できているだけの話です。

 

出版社は、常に「本にしたら売れそう」なネタを探しています。

 

逆に言えば、あなた自身が「本にしたら売れそう」と思ってもらうか、あなたのスキルやノウハウを「本にしたら売れそう」と思ってもらえれば、それほど難しくなく出版することは可能です。

それぐらい、編集者は「本にしたら売れそう」という感覚を重要視しています。

 

f:id:shuppanproduce:20180627231523j:plain

 

では、何であなたが出版できなかったのかと言えば、編集者の「本にしたら売れそう」というアンテナに引っかかっていないから。

 

あなた自身が「本にしたら売れそう」と思ってもらうためには、自分の知名度や影響力をアピールすることが必要になります。

そのためには、テレビやラジオ、雑誌など、本以外でのマスメディアで露出をするということ。

他には、100人以上を集めるセミナーを開催したり、5000人以上の会員制組織を運営したり、1万人以上の読者がいるブログを運営したり、3万人以上のツイッターを運営したり、10万人以上のメルマガを配信したり…マスメディアでの露出を代用できることは多いです。

 

あなたのスキルやノウハウを「本にしたら売れそう」と思ってもらためには、まず検索結果で上位表示をすること、ブログランキングで上位にいること、たくさんの人にシェアしてもらうこと…とにかくあなたのスキルやノウハウがアクセスを呼び、評価されていることが重要になります。

 

どちらの場合でも、必要なのは客観的な評価。 これがなければ、ゼロ評価だと言っても過言ではありません。

 

もし、出版を目指しているのであれば、そのことを考慮して、まずは自分自身、もしくは自分のスキルやノウハウを露出させて、目立つことを考えてみましょう。

それで評価を得ることができれば、 極論、文章なんて書けなくても本を出版することができたりします。

 

「本にしたら売れそう」と思ってもらえれば、編集者がどんな文章でも修正してくれますし、ゴーストライターを立ててくれることもあるからです。

そういった意味でも重要なのは、いかに編集者の目にとめてもらえるかということであり、その上で「本にしたら売れそう」という感覚を持ってもらえるかが勝負なのです。

 

出版社での企画の決め方

ほとんどの出版社では、企画書を提出してから進行が確定するまでに2~3回の会議を通過しなくてはなりません。

そして、各会議で話し合う内容や参加するメンバーが異なることが多いのです。

 

1回目の会議

最初の会議では、編集部内でそれぞれの編集者が持ち寄った企画を吟味します。

この時点では、書名案と企画概要ぐらいの簡単な情報で、多数集まった企画から選別するのが目的です。

 

2回目の会議

次の会議では、1回目に通過した企画をより詳細な企画書にして、進行するべき企画をさらに検討していきます。

ここを通過したら、よほどなコトが無い限り内定となります。

 

3回目の会議

最後の会議では、確定を前提とした企画を営業など他の関連セクションの方も含めて、部数や価格、ギャランティなどを詰めていきます。

企画の良し悪しよりも、採算が見合うかどうかなど販促的な側面からも検討をして、最終的な結論が出ることになります。

 

f:id:shuppanproduce:20180629020713j:plain

 

このように、出版する企画が決まるまでには、企画書を提出してから進行が確定するまでに2~3回の会議を通過することになります。

 

しかし、企画書を作成するということは、1冊分の本を書くのと同じぐらいの労力がかかります。

それなのに、企画が面白くなくては、最初の会議で不採用となり、その企画書を作る作業が不毛な労力となってしまいます。

なので、直接、出版社の方にお話しできる環境にあるのであれば、先に口頭で企画を打診してみて、好反応だったものだけを企画書に落とし込むというように、段階的に企画書を作成することをオススメいたします。

 

まだ企画の段階なのであれば、出版社の編集者と話し合いながら企画を詰めていくこともよくありますし、企画が良ければ、その場で決まるコトもあります。

「こういう人がこういう本を書いてみたいそうなんですが…」

「あ、それ、面白そうだね」

この時点で、何もしなくても1回目の会議は通過できたも同然だったりします(こういう場合、出版社の編集者が会議用の資料は作成してくれます)。

 

ちなみに、この会話を出版社の編集長や社長との会話だと、2回目の会議もほぼ通過できたも同然となるでしょう。

 

もちろん、3回目の会議は印税などの諸条件が決まる重要な会議なので、油断してはいけません。

会議の結果次第で出版社側が企画を却下することもありますし、逆にこちら側からお断りしなければならない場合もありえます(極端に定額なギャランティ提示など)。

 

全ての出版社がこのような流れではありませんが、平均的にはそれほど外れていないはずです。

企画確定までのプロセスを理解することで、より効率的に売り込みをしてはいかがでしょう。

 

出版社における企画書の読み方

出版社でどういう風に企画が決まるかを説明したので、それらの会議で企画書がどのように読まれているかについて、説明しようと思います。

 

出版を目指す場合、出版企画書を書き、それを持って出版社や編集プロダクションに売り込みをするのが一般的です。

ただ、その場合に持って行く出版企画書の捉え方が、書いた人間と読む人間とで、その捉え方が違うように思います。

 

企画書を書く側は、ほとんどの方が、「こんな感じの本を出版したいなぁ~」と漠然とイメージをしながら書くことでしょう。

それは著者の希望なのだと思います。

 

しかし、出版企画書を読む側は、「この著者は、こういう本を出版したいんだね」と思いながら読みます。

これに対して、著者の条件だと思うのです。

 

つまり、書き手は“希望”で、読み手は“条件”だと思っているということになります。

 

f:id:shuppanproduce:20180630020904j:plain

 

この捉え方の違いがどういうことになるかというと、出版企画書を書いた人間はあくまでも希望なので、譲歩することを前提に著者の思い描いている精一杯の要望を書きます。

しかし、読む人間にとっては条件だと思って読むので、こうでなくては出版したくないというぐらい、その出版企画書で進行可否を判断するものだと思って読みます。

 

具体的に言うと、企画書に「ハードカバーでフルカラーの本」と書いてあったとします。

企画書を書いた人間は、あくまでも「ハードカバーでフルカラーの本だったらいいなぁ〜」というのが希望であり、そうでなくても全然構わないと思っていることと思います。

でも、その出版企画書を読んだ出版社は「この著者はハードカバーでフルカラーじゃなきゃ嫌なんだぁ~」と思い、「ハードカバーでフルカラーじゃなきゃ本になるかもしれないけど、ハードカバーでフルカラーじゃ原価も上がるし、無理だな」と判断します。

結果、そのすれ違いにより、本になるチャンスを逃すことになるのです。

 

これはカバーや色(オールカラー)の話しに限らず、ページ数や判型などにも同じことが言えます。

もちろん、内容についても同じコトが言えるでしょう。

 

では、どうすれば良いかと言うと、このあたりのコトは書かないというのは手ですし、書くとしてても「希望」と書き加えてもよいでしょう。

 

いずれにしても、これが条件ではないコトが分かるようにし、譲歩する余地があるコトが伝わるようにした方がよいと思います。

 

出版社で通りやすい企画とタイミング

どこの出版社にも通りやすい企画というのが存在します。

それは、改訂、バージョンアップ、ニューモデルといったものです。

勘違いしてはいけないのですが、新規や新商品ではなく、すでにあるものの焼き直しに近いイメージだとおもってください。

 

これは、我々のような編集プロダクションやライターさんなら、常に意識していることだと思います。

 

f:id:shuppanproduce:20180802001934j:plain

 

で、ポイントなのは、すでにある書籍が売れていて、そのバージョンアップ、ニューモデルであるということです。

たとえば、Windowsの入門書がありますが、これは、Windowsのユーザー数が多いので、常に一定数のユーザーが存在し、一定数の書籍は売れます。

このWindowsがバージョンアップをしたら、当然、新バージョンの書籍が必要になるので、その企画は通りやすくなるということです。

iPodなどのハードの本もそうですし、日々、どんどん改定されていく法律絡みの本などにも同じことが言えます。

 

つまり、国会審議や商品発表の情報は、通りやすい企画を考える上で重要なリソースになるのです。

 

そして、そういう企画を売り込むタイミングは、施行日、発売日のだいたい三ヶ月以上前が理想です。

三ヶ月以上前というのは、企画が通ってから発刊までに、どんなに頑張っても最速でも三ヶ月くらいはかかるからです。

もし、事前に準備ができない場合は、いかに執筆期間を短くするかがポイントになります。

そして、企画書に「『○○対応』で一番最初に発刊できると思います」と書くことで、さらに企画が通る可能性はより高まります。

 

売れている書籍の改訂、バージョンアップ、ニューモデルを常に意識して企画を考え、施行日、発売日のだいたい三ヶ月以上前に「『○○対応』で一番最初に発刊できると思います」と書いた企画書を持って売り込むと意外に簡単に、そして、出版社に感謝される形で出版することができるはずです。

 

出版のチャンスを待たずに積極的に提案していきましょう

私のところに出版したいと集まってくる人の中には、「出版社から、「何か、こういう企画無い?」みたいな要求ってないんですか? このジャンルなら対応しますよ」と言われる方が非常に多いです。

 

正直、出版社から「何か、こういう企画無い?」という話しは、毎日のようにあります。

 

でもですね、その企画の著者として、あなたが適任かどうかは別の話しなんです。

出版社の担当者も弊社の編集スタッフもそれなりに実績がありますので、多くの著者候補を抱えております。

つまり、その多くの著者候補の中から、あなたに依頼する理由があるかどうかです。

仲が良いからと言って、依頼するほど甘くはありません。

それは決して義理や人情の話しではないんです。

 

f:id:shuppanproduce:20180804001542j:plain

 

では、あなたに依頼される可能性について書いてみます。

 

まず、出版社で数多あるテーマの中から、あなたが書けるテーマで本を作ることが決定するかどうか。

次にその本の発注が数多いる編集者の中から、あなたの知り合いの編集者にくるかどうか。

そして、その編集者にとって、そのテーマの本を作る上で数多いる著者候補の中から、あなたが適任者として認識されるかどうか。

 

これだけのコトを乗り越えて、はじめて、あなたに依頼があるということを覚えておいてください。

 

もちろん、あなたが書きたいと思って提案した企画はあなたが書く企画として売り込みますが、出版社から言われた企画はあなたに依頼するかどうかは、何か依頼するだけの理由や売り、メリットがなければ、依頼することは無いでしょう。

 

もし、本当に出版をしたいのであれば、「出版社から、「何か、こういう企画無い?」みたいな要求ってないんですか? このジャンルなら対応しますよ」などと言って、待ちの姿勢になるのではなく、出版企画書を書いて、積極的に提案するようにしましょう。

 

待っているだけでは、何時まで経っても出版なんてできませんよ。